(分野別・危機管理広報のポイント③)
この記事は「分野別・危機管理広報のポイント」シリーズの第3回です。
今回は、医療分野における危機管理広報の特徴とリスクについて整理します。
① 医療広報の前提にあるもの
医療における情報発信は、他の分野と比べて、より強い前提のもとで行われます。
・人命に直結する情報である
・専門性が高く、一般の人にとって理解が難しい
・わずかな誤解が重大な影響につながる
そのため、
▶︎ 正確であることが最優先
です。
当然の前提ではありますが、時に
▶︎ 「分かりにくさ」を生む要因
にもなります。
② 医療で起きやすいリスク
こうした前提のもと、医療広報では次のようなリスクが生じます。
例えば、
・専門用語が多く、内容が理解されない
・説明が抽象的で、具体的な行動につながらない
・リスクの説明が不十分、または過剰になる
といったことです。
また、
・誤解を避けようとする意識
・慎重な表現の積み重ね
によって、
▶︎ 結論が見えにくくなる
という状況も起きます。
③ なぜそのリスクが生まれるのか
これらは単なる説明不足ではなく、
▶︎ 医療という分野の特性そのもの
に起因しているのです。
医療では、
・不確実性を伴う判断が多い
・個々の状況によって結果が異なる
・専門的な知識が前提となる
といった特徴があります。
そのため、
・断定的な表現を避ける
・例外を考慮する
・誤解を招かないようにする
といった配慮が強く働きます。
その結果として、
▶︎ 情報が複雑になり、伝わりにくくなる
という構造が生まれるのです。
④ リスクを回避するための視点
では、どのように考えれば「伝わる」のでしょうか。
重要なのは、
▶︎ 「正確さ」と「分かりやすさ」を両立すること
です。
そのためには、
▶︎ 専門用語をそのまま使うのではなく、意味を補足する
ことが必要です。
また、
▶︎ 「可能性」と「確率」を分けて伝える
ことも重要です。
例えば、
・起こり得ることなのか
・どの程度の頻度で起こるのか
を区別して説明することで、
▶︎ 過度な不安や誤解を防ぐ
ことができます。
⑤ 実務での工夫
現場では、次のような工夫が有効です。
● 専門用語に説明を添える
言い換えや具体例を併用する
● 結論を先に示す
何が重要なのかを明確にする
● 行動を具体化する
受け手が何をすればよいかを示す
● 不確実性を整理して伝える
分かっていることと分からないことを区別する
▶︎ 「分かる」と「動ける」をつなぐこと
が重要です。
⑥ まとめ
医療の危機管理広報では、
▶︎ 正確さや専門性が強く求められる
からこそ、
▶︎ 分かりにくさや伝わりにくさ
というリスクが生まれます。
重要なのは、
▶︎ 正確に伝えるだけでなく、理解される形にすること
です。
そのためには、
▶︎ 専門性を翻訳すること
▶︎ 行動につながる形にすること
が欠かせません。
医療広報においては、
▶︎ 「正しい情報」だけでなく「伝わる情報」
が求められます。
その視点を持つことで、伝え方は大きく変わります。
