(分野別・危機管理広報のポイント①)
この記事は「分野別・危機管理広報のポイント」シリーズの第1回です。
今回は、自治体における危機管理広報の特徴とリスクについて、「ここだけは」というポイントを挙げています。
① 自治体広報の前提にあるもの
自治体の情報発信は、企業や民間とは異なる前提の上に成り立っています。
・対象が「住民全体」である
・公平性が強く求められる
・説明責任が常に伴う
このため、特定の人だけに向けた発信ではなく、
▶︎ 誰にとっても偏りがない表現
が求められます。
重要な前提ではあります。
しかし、その一方で「全員に」という点が
▶︎ 「伝わりにくさ」を生む要因
にもなります。
② 自治体で起きやすいリスク
こうした前提のもと、自治体の広報では特有のリスクが生じることがあります。
例えば、
・全員に配慮しようとして、表現が総花的になる
・強い言い方を避けて、重要性が伝わらない
・部署ごとの調整で、文章が曖昧になる
といったことです。
何となくそれらしい、もっともな文章で
大きな問題があるわけではありません。
▶︎ 誰にも刺さらない情報になる
ということが起きます。
また、
・クレームを避けようとする
・前例を踏襲する
といった判断が重なると、
▶︎ 初動が遅れる
というリスクにもつながります。
③ なぜそのリスクが生まれるのか
これらは単なるミスではなく、
▶︎ 自治体としての役割が反映された結果
ともいえます。
自治体は、
・住民全体に対して責任を持つ
・公平性を保つ必要がある
・説明責任を果たさなければならない
という立場にあります。
そのため、
・誰かを優先するように見えないか
・誤解を招かないか
・過度に強い表現になっていないか
といった点に強く意識が向きます。
その結果として、
▶︎ 「安全な表現」を選び続けてしまう
▶︎ 結果的に誰にも届かない
状況になることがあります。
④ リスクを回避するための視点
では、どのようにすればよいのでしょうか。
重要なのは、やはり
▶︎ 「誰にとっての情報か」を明確にすること
です。
自治体の発信は住民全体に向けたものですが、
一つ一つの情報を見ていくと
「伝えるべき相手」の顔が見えてくるはずです。
例えば、
・避難情報 → 対象地域の住民
・子育て支援情報 → 保護者(+支援者)
・高齢者向け施策 → 高齢者世帯
といったように、
▶︎ 情報ごとに「優先される対象」がある
はずです。
この点を曖昧にすると「誰にも伝わらない」という結果になります。
⑤ 実務での工夫
だからこそ「今・この場面では誰に伝えるべきか」と考えることが肝心です。
そのうえで、次のことを工夫しましょう。
● 主語と対象を明確にする
誰に向けた情報なのかを明示する
● 優先順位を決める
すべてを同じ強さで伝えない
● 文言の軸を統一する
部署ごとの表現のばらつきを防ぐ
● 初動を優先する
完全でなくても、まず伝える
▶︎ 「正確さ」と「スピード」のバランスを取ること
が重要です。
⑥ まとめ
自治体の危機管理広報では、
▶︎ 公平性や配慮が前提にある
からこそ、
▶︎ 伝わりにくさや初動の遅れ
というリスクが生まれます。
重要なのは、
▶︎ 全員に向けてではなく、「必要な人に確実に届くか」
という視点を持つことです。
そのためには、
▶︎ 情報ごとに対象と優先順位を明確にすること
が欠かせません。
自治体広報は、正しく伝えるだけでなく、
▶︎ 行動につなげること
が求められます。
その視点を持つことで、伝え方も伝わり方も大きく変わります。
