「分野別」で考える理由
この記事は「分野別・危機管理広報のポイント」シリーズの導入回です。
先の「危機管理広報の基本シリーズ」が、全分野を「鳥の目」で見た危機管理広報の基本だととすれば、こちらは各分野を「虫の目」で見た危機管理広報のポイントです。
分野ごとの特性に着目し、「ここだけは」というポイントを挙げています。
① 原則だけではうまくいかないことがある
危機管理広報には、共通する基本的な考え方があります。
・正確な情報を伝える
・迅速に対応する
・誠実な姿勢で説明する
これらは、どの分野においても重要な原則です。
しかし、実際の現場では、基本に沿って対応しているにもかかわらず、
・意図がうまく伝わらない
・不信感を持たれてしまう
・説明がかえって混乱を招く
といったことが起きる場面があります。
▶︎ 原則どおりに対応しているのに、うまくいかない
なぜでしょうか?
その背景には、「分野ごとの違い」があるからです。
② なぜ分野によって違いが生まれるのか
危機管理広報が難しい理由の一つは、分野ごとに前提条件が異なることにあります。
例えば、
・守るべきものが違う
・関係する人や立場が異なる
・意思決定のプロセスが異なる
・長年の慣習や不文律が存在する
といった違いです。
パッと思いつく要素をいくつか挙げてみましょう。
・議会では政治的中立性が強く求められる
・医療では専門性と人命への配慮が最優先される
・教育では子どもや保護者への影響が重視される
・企業ではブランドや信頼が経営に直結する
分野によって、こうした背景の違いがあります。
そのため、同じ内容であっても
▶︎ 伝え方や受け取られ方が変わる
ということが起きるわけです。
③ 分野特有のリスクとは何か
分野ごとの違いは、そのまま「リスクの出方の違い」にもつながります。
例えば、
・正確さを重視するあまり、説明が分かりにくくなる
・配慮を優先するあまり、表現が曖昧になる
・組織内の調整に時間がかかり、初動が遅れる
といった現象です。
これらは一見すると別々の問題に見えますが、
▶︎ それぞれの分野で大切にしているものが反映された結果
であるともいえます。
だからこそ、単に「正しいやり方」を当てはめるだけではなく、
▶︎ その分野の前提に合わせて調整すること
が求められるのです。
④ 分野別で考えるメリット
そこで、分野別の特性を踏まえたうえで
リスクコミュニケーションを考えてみましょう。
具体的には、
・何を優先すべきかが明確になる
・不要な調整や迷いが減る
・説明の軸がぶれにくくなる
といった効果があります。
▶︎ 現場の判断がしやすくなる
これは、単に効率の問題ではなく、
▶︎ 適切なタイミングで、適切な説明ができるかどうか
に直結します。
⑤ このシリーズで扱う内容
次の記事からは、分野ごとの特性を踏まえながら、危機管理広報のポイントを整理していきます。
具体的な分野として想定するのは以下の5つです。
・自治体
・議会
・医療
・教育機関
・一般企業
それぞれについて
・どのようなリスクが生じやすいのか
・なぜそのようなリスクが生まれるのか
・どのように対応すべきか
を、実務の視点から整理します。
⑥ まとめ
危機管理広報には共通する原則がありますが、
▶︎ そのまま適用するだけでは十分ではありません。
重要なのは、
▶︎ その現場に合った伝え方を選ぶこと
です。
分野ごとの違いを理解することは、
単に知識を増やすことではなく、
▶︎ 適切な判断を行うための前提を整えること
であり
▶︎ 適切なタイミングで、適切なコミュニケーションをとること
です。
シリーズでは、その違いを一つずつ整理しながら、
実務に活かせる形で共有していきます。
