自ら“コロナっぽい”と判断。37度以下に下がっても自主的自宅待機

写真は内容と関係ありません Photo by akizouさん

タレントのミッツ・マングローブさんが4月21日、自身がレギュラーを務めるTV番組「バイキング」を欠席。PCR検査を受けることはできていないものの、「コロナっぽい」体調不良であると判断。自宅療養中であることが伝えられました。

以下が、ミッツさんの行動です。

・3月31日に同番組にスタジオ出演
・4月7日はリモート出演
・4月10日に体温37・1度(平熱は35度台後半)、以降発熱続く。
・13日には咳。味覚にも異変。
体温は36・9度まで下がったものの、咳と倦怠感が少しあることから自宅待機を継続しているとコメントしました。

そのコメントが非常に素晴らしいと感じたので、あらためて以下に引用します。
【以下、ミッツのコメント全文/ デイリースポーツ 2020/4/21より引用】

ミッツ・マングローブです。

4月10日以降、原因不明の発熱が続いており、自宅で療養しております。最後に現場で仕事をしたのが4月4日。人と接触をしたのが7日です。

現在は、誰とも接触を取らない方法でできる仕事は続けていますが、発熱から数日後には舌の味覚がなくなる症状(今は回復)も出たため、新型コロナの検査を受けるのが妥当と判断しました。

しかし私の場合、肺炎の兆候もなく、体温が(PCR検査を受け付ける現段階の基準である)「37・5度以上」に一度も達していないという理由から、未検査のまま今日に至ります。

幸い、普段から私の体調を細かく看てくださっている主治医の先生に、毎日ご相談させて頂いており、大事には至っていません。

ただ、このような状況を、周囲の人たちや関係各所に黙っておくわけにはいきませんし、また私のように「コロナっぽい」状態のまま、ともすれば普段通りの行動をとってしまっている人も、たくさんいるのではないかと思い、現状を公表することにしました。

微熱やダルさぐらいだと、あえてそれを周囲の人に「告白」するのは、なかなか躊躇してしまいがちです。

現に私も、発熱の事実をマネージャーなどに伝えるまでに「1日」の空白がありました。

「とりあえず様子を見よう」という判断と、「言ったらいろいろと大変になりそうだ」という逡巡が、その空白を作ってしまいました。

無論、すべての体調不良を「コロナ」と照らし合わせることはできませんし、白黒ハッキリつけるシステムもまだ整ってはいません。

すでに逼迫している医療体制を悪化させないためにも、定められた検査基準には従うべきです。

ならば、ちょっとした自覚症状にも蓋をせずに、しかるべき自己判断・自己処置をすぐに取れるかどうかが、個人個人にとって、そしてそんな個人の集合体である社会にとって、改めて大切なことであると強く思います。

また私のような「非公式」な状態でいる人たちが、今後どのようにして「完治」「復帰」を決めればいいのかというのも、考えていかなければならない事案だと思います。

様々な不安や葛藤の中で暮らさなければならない日々が続きますが、こまめに自分を律しながら、一日も早い安全な世の中を取り戻すべく頑張りましょう。

自主的自宅待機を選んだミッツ・マングローブさんの想像力と自制心

他を慮る想像力と働く人としての自律と自制心。
ミッツさんのコメントからそれが感じられる。

新型コロナが蔓延する今、もしミッツさんと同じ症状があれば、多くの人は次のような不安にさいなまれるでしょう。
「新型コロナの可能性があるなら、今後はスタッフの安全確保のために出演要請しないでおこうと思われはしないだろうか」
「新型コロナと診断されたわけではないのに、自分で自分の首を絞めるようなことにならないだろうか」
「周囲の人に避けられるのではないだろうか」
「37.5度の発熱はないのだから、このまま仕事を続けてしまっても分からないだろう。咳はあるが、季節の変わり目はよくあることだし、大丈夫だろう」
「 休むのは、PCR検査を受けられる状態になってから、もし陽性だと診断されてからでもいいだろう。検査を受けられないのは自分のせいではない」
などなど、さまざまな不安が浮かび、自分に言い訳をしてしまうだろう。
事実、未検査である以上、陽性でも陰性でもないわけだ。

しかし、こうしたグレーゾーンの状況下でミッツさんは無理に仕事を続けることはせず、自主的に「自宅待機で休養」と判断しました。

文章も、誰にでもわかる言葉でていねいに理にかなった順序で綴られており、ミッツさんの知性が感じられます。
上記引用文中でも重要箇所に下線を引きました。

●まず結論「4月10日以降〜自宅療養しております」
●結論に至った理由
●相談した際の状況説明
●自らの状況を分かりやすく順を追って説明。
さらに締めくくりでは、社会にも同じ人がいるだろうことに共感。
私たちひとりひとりがどう考え、どう行動すべきか問いかけています。


“働く人”である前に“社会のなかの一人”としての私たち

危機発生下では、人としてのあり方が否応なく露呈します。
リスクだらけの環境で、まず人は自分を守る必要があり、周囲への配慮が後回しになりがちであることは無理からぬこと。

しかし、私たちは自分一人で生きているわけではありません。
知性派タレントとして活躍するミッツさんも、そのことを普段からよく知っているのでしょう。
自律心や自分なりの価値観を大事にし、協調心を発揮できる素敵な大人だと思います。今回のコメントも、まず自分の体調を第一に、同時に周囲への迷惑が及ばないようにと考えてのことでしょう。

もちろん、一瞬ながら “保身”も考え、“1日の空白”があったことも告白。その正直さも潔く、かえって人間的だと共感できます。

“はたらく”“傍(はた)を楽(らく)に”=周囲に苦をもたらさない

”働くとは、傍(はた)を楽(らく)にする”とはよく言われますが、間違った行動を取れば逆に傍に“苦”をもたらしてしまいます。
特に今回の新型コロナでは、発症2日前から感染力があることも明らかになってきました。
平熱が普段から低めであるミッツさんは、「自分一人くらい」と考えず、理性ある自己判断を行い
●「しかるべき自己判断・自己処置をすぐに取れるかどうかが、個人個人にとって、そしてそんな個人の集合体である社会にとって、改めて大切なこと」
●私のような「非公式」な状態でいる人たちが、今後どのようにして「完治」「復帰」を決めればいいのかというのも、考えていかなければならない事案
と提言も行なっています。

先日は、櫻井翔さんも「平熱より高いから」という理由であるニュース番組を休演しました。この動きが一般の働く人たちにも広まり、しんどい人が休める社会になっていけばと願います。

このところ、軽症でも急変する人が相次ぎ、感染者に数えられていない人々の孤独死や路上での変死もあるようです。知れば知るほど、厄介な病気である新型コロナ感染症。
本来なら、新型コロナの症状が疑われる人は、PCR検査を受けられるべきなのだろうが、まだまだ対応が整っていません。いえ、医療崩壊一歩手前だとされています。

私たちにできることは、限られています。
ひとりひとりが「誰かの大切な人」であり「社会の中の一人」。
感染防止対策をしっかりとりながら、体温チェックも行いたい。
特に、無症状のまま気づかない人も多いため、平常時であっても、平熱をチェック(朝・晩)するといいでしょう。

自分の行動がどんな風に周囲に影響を及ぼすか。想像力や自主自立の心が問われる時です。今はただ、個人としてできること、周囲のためにできることを考えながら“Stay Home〜おうちにいよう”を実践したいものです。

*ミッツさんの経過は順調(2020/4/29)→ ミッツさんのインスタグラム