菅新内閣でデジタル改革担当大臣に任命された平井氏。来年中に発足させる考えを示し「行きたいと思う役所を作る」と意欲を見せました。
平井大臣「デジタル庁を来年中にスタート」

デジタル庁のトップとなる長官についても「民間の人を登用したいという個人的な思いがある」と述べました。さらに、デジタル庁の場所は東京にこだわらない考えを示し、「究極のことを言えばオフィスはなくてもいい。最初から全員リモートでも」と述べました。(引用)

(テレビ朝日より)

背景にデジタル化の著しい遅れ

喜ばしいことだと思います。

この春、新型コロナ感染者の把握においても、台湾や韓国が感染者情報を迅速にIT管理しているのに比べ、日本はいまだにFAXでやりとりしていることが国民を驚かせました。

また、給付金事業で当初マイナンバーの方が早いとされ、大勢が役所に詰めかけたものの、結果的に役所内で長時間三密の状態で待つというところも多かったようです。
煩雑な業務が簡単になるのは、行政・住民双方にとって良いことなので、ぜひ、IT化を進めてもらいたいですね。

何から手をつけるか。ゴールはどこか。人材や予算、目標設定、様々な観点から迅速な議論が進められていることだろうと思います。

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デジタル庁への期待と不安

デジタル庁がスムーズに行くには、先に述べた必要な外部人材の登用ももちろんですが、何よりも国民の理解と協力が必須です。

しかし
マイナンバー登録者が依然低迷している
新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)  利用者数が伸びない

以上のことを思えば、なぜ理解が進まないのか、協力が得られないのかを国民の立場になって考える必要があるでしょう。

個人情報は、今や宝の山です。
自国の企業はもとより、他国にとっても価値があることを多くの人が知っている今、自分の情報を預けることに不安を感じるのは当然です。

今年の5月に可決されたスーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)でもTwitterで 多くの反対意見が投稿されました。
なぜ、反対なのか?

そこには
・個人情報が適切に管理されるか?
・住民の監視に使われることはないか?
・住民の理解・合意がないまま情報が企業に渡らないか?
といった不安があるからです。

与党急ぐスーパーシティ法案 規制緩和だけではない問題
によれば、次のような懸念も置き去りにされたままです。

個人情報を集める際の本人同意や、自治体が対象地域を決める際の住民合意をどう得るかなど課題も多いが、内閣府地方創生推進事務局は「個別ケースの判断」としており、具体的に定まっていない。(引用)

朝日新聞デジタル 2020.5.21より
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スピードだけでなく丁寧で誠実な対話を

新型コロナウイルスだけでなく、行政における様々な作業がIT化によりスムーズに進むなら、国民にとっても喜ばしいことでしょう。
例えば、教育におけるIT化が進んでいれば、子どもたちの授業が遅れることはなかったはずです。

だからこそ、スピードだけでなく、丁寧で誠実な対話がなされることを望みます。
リアルな機会が難しくとも、今回早速河野大臣が目安箱を設置したように、ネット上で声を募ることはいくらでもできるでしょう。
行政において、ソーシャルリスニング(ソーシャルメディアを使ってネット上の声を拾う)はもはや大前提です。
真にソーシャルな対話がなされた上にこそ、安心され信頼できる有効なデジタル庁が存在しうるのです。

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